日本シリーズの流れを左右 ソフトバンク工藤監督の「勝負勘」

その即断即決は、コーチや選手の目にも際立って映った。
2回に1点を先制されたが、4回に1点を先制されたが、4回に無死満塁から中村晃の2点中前打で逆転した。
体調不良に右肩痛で戦列を離れていたキャプテンは、クライマックスシリーズ(CS)ファイナルステージから復帰。日本シリーズでは前の打席まで打率1割6分7厘と本調子でなかったとはいえ、希代のバットマンの犠打は横浜(現DeNA)時代最終年の2010年が最後だ。ソフトバンク移籍後8年間を通じてなかったこと。
この間、ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本代表としても犠打はない。内川は初球ボールを見送って2球目、最初の試みできっちり決めた。工藤監督はベンチで帽子を取り、最敬礼で迎えた。
もっとも次打者の松田宣も、前の打席まで打率1割1分1厘とこちらも調子は上がっていなかった。結果はボール気味の球に手を出して空振り三振。さらに今宮も倒れ、リードを広げるには至らない。
指揮官は直後、5回の守りでも動いた。2死二塁、3番の左打者・丸を迎えたところで先発千賀に降板を命じた。勝利投手の権利まであと1アウトだったが、左腕モイネロへのスイッチを選択した。
モイネロはレギュラーシーズン(RS)の被打率が対右1割6分2厘、対左3割2分9厘。左打者の方に打たれていた。一方の丸は、対右2割2分9厘。左打者の方に打たれていた。
左腕を苦にしないどころか、右投手より打っていた。データにとらわれず、復調気配のあったモイネロの初球は、捕手の構えと思い切り逆の内角に外れる。
2球目のストレートを打ち抜かれた。結果は最悪の右越え逆転2ラン被弾。ベンチは凍り付いた。
裏の攻撃、2死二塁で代打・長谷川勇。
すると広島は左腕フランスアを送り込んできた。ソフトバンクは敵地での第1、2戦で、計3イニングを1安打に封じられていた。長谷川勇は一ゴロに抑えられ、フランスアは当然のように7回も続投。
先頭の上林が空振り三振に倒れた。勢いのままマウンドを制圧しようとする左腕を止めたのは、次打者の明石だった。右越えの同点ソロで、試合は振り出しに戻った。
明石はRSでの打率が対右2割7厘、対左1割5厘。普段のなら右の代打・川島を送り込んだ結果だった。フランスアは150キロ台半ばを投げ込んでくる剛腕。
工藤監督は、明石が左腕を苦にしない上に「真っすぐに強い」ことを買っていた。結果的に打ったのはスライダーながら、速球をファウルして粘って8球目のことでもあった。追いついて迎えた8回の守りで再び動いた。
この回から登板のルーキー高橋礼が2死を取り、打席に会沢を迎えると、ストッパーの森を送り込んだ。テンポよく2死を取り、打席に会沢を迎えると、ストッパーの森を送り込んだ。
2回の勝ち越しソロ。勝負どころで会沢に打たれていた。ただ、この場面は2死走者なし。
それでも会沢に出塁を許し、次打者の野間で攻撃終了となれば、9回の広島の攻撃は1番田中からの好打順になる。それを嫌ったという。期待通りに森は会沢を抑えた。
続投した9回は田中にポテン右前打を許したが、先頭の9番野間を打ち取って1死とした後だ。菊池の犠打で2死二塁となり、丸の右飛は危ない当たりだったが3アウトチェンジ。そして延長10回無死から柳田が、前の回から続投していたストッパー中崎から右越えにサヨナラ弾を放ち、けりをつけた。
指揮官は、試合後の勝利監督インタビューで「途中ちょっと失敗もありまして、ピッチャーには非常に申し訳ない思いがあった」とも漏らした。次々と繰り出される勝負手に、結局は選手が応え、接戦をものにしたソフトバンク。1敗1分けスタートからの3連勝で一気に王手をかけた工藤監督が、このまま笑うか。

 
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