米メディア人員削減 MLB記者投票の権威どう守る

確か7月のことだったと思うが、ニューヨークの主要新聞の1つであるデーリーニューズ紙の記者と編集局員が大量リストラされ、ニューヨークのメディア業界に衝撃が走ったことがあった。
同記者は16年までESPNの記者だったのだが、ESPNも一時期、事業を大幅拡大して記者も増やしたが、業績が振るわなくなると手のひらを返したように人員を整理した。やはり新聞系メディアの方が安定しているかもしれないとデーリーニューズ紙に移籍した同記者だったが、まさか2年目でまた職を失うとは、思いもよらなかっただろう。米国のメディアは今、このように激動の時期にある。
文字のメディアは紙もネットも苦戦するため目まぐるしく形を変え続け、スポーツメディアで現在好調なのは完全課金制のネットメディア「ジ・アスレチック」くらいだ。それでもニューヨークは米国の他都市とは比べものにならないくらいメディアと記者の数が多いので、数人が去ったとしても少なくなったという感じはあまりしない。問題は小都市で、昔から2~3しかメディアがない市もあり、それがさらに減少するとどうなるのだろうと思っていたら、今年の各賞受賞発表を見てやはり影響が出ていると感じた。
各賞受賞とは、今月16日まで発表が行われていたBBWAA(全米野球記者協会)が選出する新人王、最優秀監督賞、サイ・ヤング賞、MVPのことだ。MLB球団が本拠地を置く各都市の記者2人ずつ計30人に投票権が与えられ1票を投じるのだが、各賞それぞれ別の記者が投票することになっており、1都市につき4人の投票者が必要だ。今回の投票を見ると、4人をそろえるのも苦労している都市も正直、あったように感じる。
BBWAAには、MLB公式サイトの記者はMLBの雇用者であるという理由からか)のだが、2年ほど前から加入できるようになり、今回の投票ではかなりのMLB公式サイトの記者は以前は入れなかった(恐らく公式サイト記者が投票に参加していた。もし彼らが加わっていなければ、本当に人材不足の都市もあっただろう。BBWAAが選出する賞は、現存するあらゆる賞の中でも歴史と権威のあるものであり、その権威を維持することは米スポーツメディアだけでなく野球界にとっても重要なこと。
一メディアの人間としては、固唾(かたず)を飲んで成り行きを見守っている。

 
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