【亜細亜新野球事情】韓国球界“FA迷子”増加の理由 観客動員は右肩上がりでも…

韓国球界も2月のキャンプ目前となった。
目玉とされた斗山の梁義智捕手が4年総額125億ウォン(約10億6000万円)など3選手が残留したが、11選手が未決のままだ。
「最終的には残りの多くも残留契約でキャンプを迎えるだろうが、当初、希望していた条件より悪い金額でサインせざるを得ないだろう」(某球団幹部) これほど越年、未決が多くなったのには無論、理由があった。ひとつは、なによりFA市場の不作だ。前述の梁義智は昨季、打率・358、23本塁打、77打点と打撃がウリの、今、韓国球界ナンバー1と称される捕手。
シーズン中から「宣言すれば他球団が手を挙げる」(別の韓国球界関係者)と見られていた。しかし他は2016、17年と2年連続40本塁打を記録した崔廷内野手くらいで、同選手も「移籍の意思は希薄で、好条件なら残留」(関係者)とされ、市場全体が冷めていたのだ。投手にめぼしい選手がいなかったこと、選手たちの年齢も多くが30代半ばを過ぎていたことも悪条件として重なったと見られている。
前出の球団幹部が続ける。「韓国では、FA宣言した選手は、原則的に4年なので、その間を補償しろということです。」
若ければともかく、35、6歳の選手なら、どの球団も熱を上げて交渉するでしょう。しかしA、Bランクくらいでは、今、熱心に獲りに行く球団がどれだけあるか。
ましてや平均的なレベルの選手が、FA資格を取得し、行使したから高額な条件で再契約してくれ、と言われても、今の球団はどこも応じないでしょう。その点では、ハッキリ言って選手も現実を見るべきなんです それだけ球団としては金を出し渋るようになっている、というわけだ。たとえば15年に韓国ロッテから斗山にFA移籍した張元準投手は、当時4年総額84億ウォン(契約金40億、年俸10億、出来高4億=約8億4000万円)という高額移籍に成功した。
前年の年俸が3億2000万ウォン(3200万円)だったことを考えれば、破格の待遇だった。左の技巧派として移籍後には「本当の契約は6年100億ウォン(約10億円)だった」という噂まで流れた。ことの真偽は定かではないが、それほど有力選手にとってFAでの移籍は、自身の収入を跳ね上げた。
いや移籍ばかりではない。16年オフには、韓国球界のエースと言われた金廣鉉投手が所属していたSKと、やはり4年85億ウォンの複数年契約。つまりFA資格さえつかめば選手にとって、それは金のなる木となった。
そしてFA選手の年俸上昇が、他の有力選手の契約交渉にも影響を与え、近年、選手年俸はインフレ状態になっていた。前出の球団幹部が言う。「今、韓国球団は10チームありますが、一部の人気球団を除いてすべて赤字経営です。」
その一部のチームですら決してもうかっているわけではない。しかし選手の年俸だけは上昇する。それは昨今、リーグ全体の観客動員数が右肩上がりのため“球団はもうかっているはず”と選手らが思い込んでいるからです。
実際は、赤字の額が多少減る程度で、経営状態はいまだ親会社からの莫大な援助なしには続けられないんです そうした背景もあり、KBO(韓国野球委員会)では、昨秋にFA契約の見直しを選手会側に提案した。 ◆  ◆ 【1】契約年数は最大で4年まで。総額も80億ウォン(約8億円)とする。
【2】資格取得を現行の高卒9年から8年を7年に。大卒8年を7年に短縮。
AランクからCランクとして、移籍時の補償など負担を減らす。 ◆  ◆ だが、選手会はこれを一蹴。今オフ、球団側が選手に対して「(FA選手に対する)やや冷たい対応は、こうした経営者側の提案をはねつけたことにもよる」(韓国マスコミ関係者)という見方もある。
代理人制度の弊害を指摘する声もある。韓国では17年から契約交渉に代理人制度の弊害を指摘する声もある。
「以前は球団幹部と選手が相対することで、ある種の情に頼る部分がありました。成績が悪くてもチームの選手という身内意識が互いに働いた。しかし代理人制度で交渉は選手が介在せず。」
まったくビジネスライクなものになった。そうなれば球団側も数字をタテに、譲ろうとはしなくなった こうしたことから、多数のFA未決選手が生まれたということだ。しかしことはFA選手だけの話ではない。
前出の球団幹部がこう結んだ。

 
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