「捕手阿部」がグラウンドに書いた文字、仲間の存在

巨人阿部慎之助捕手(39)が、1073日ぶりに“定位置”に戻ってきた。
開幕スタメンとともに、究極の目標である5年ぶりのV奪回を目指す。  ◇   ◇   ◇キャッチャー、阿部。球場の空気が引き締まる。
21世紀に入ってから聞き慣れていた場内アナウンスが、平成最後のキャンプで復活した。阿部はホームベース後方にしゃがみ、グラウンドに「冷静」と書き込んだ。「特に何も書いていない。
地面いじってみましたと周囲には悟られないように自身の再出発を戒めた。体中に染みついた動きは意図せずとも自然とよみがえる。サイン交換、捕球、守備隊形の指示、マウンドの先発山口をリードし、グラウンド上の指揮官として神経を張り巡らせて試合を進めた。
「朝からいい緊張感でできた。思ったよりできたんじゃないかなと。明日の朝、無事に起きられたらいいね」。
口内が乾ききるほどの緊張感はベテランの風貌で封じた。昨秋の11月、3年ぶりの捕手復帰を自らの意思で決めた。心中は希望より不安が圧倒的に勝る。
だから「仲間」にすがった。グアム自主トレでも練習パートナーを務めてもらった朝井打撃投手が、キャンプインしてからも横にいた。「本当に感謝している。
「あいつのサポートがなければ難しかった」。休日を返上した前日25日はブルペンで8年ぶりに朝井打撃投手との“バッテリー”を形成。この日の朝もホテルから2人で自転車に乗って球場に向かい、途中のコンビニでカフェオレを購入。
たわいもない1コマが緊張感と高揚感の比重を安定させた。捕手からの打撃も例外なくスムーズだった。2回2死、中日大野雄の外角直球を左前にはじき返した。
9番での打席に「少ない打席だと思っていた、1本、どんな形でも結果が出てよかった」。2000安打以上を積み上げた強打者に原監督も「水を得たギョ(魚)のよう。打ち取られたように見えたけど抜けていく」と舌を巻いた。
捕手復帰は孤独な挑戦ではない。王座奪回のための挑戦になる。「捕手阿部というのは僕にとっていいイメージしかないと評する原監督に対し「どうやってチームに貢献するか。」
それだけしか考えていないと阿部。乾いたミットの音が沖縄の空に向かって気持ちよく響いた。【為田聡史】▽巨人の捕手争い西武からFA加入した炭谷が軸となるが、昨季まで正捕手を張った小林、打撃力が光る大城もキャンプで必死のアピールを続けている。
4年ぶりに捕手に復帰した阿部は体力的な不安は否めないが、百戦錬磨の実績と経験値は群を抜く。近年の球界では複数の捕手を併用する起用もあるが、原監督はここまで「併用と言うよりは正捕手という考え方」との方針を示している。この日、4回からマスクをかぶった炭谷は7回無死一塁で遠藤の二盗を阻止。
指揮官は「守備力というのもね、あそこで盗塁もきちっと殺せる。ギリギリの場面でできるというのは能力というものはある」と評価。大城についても「フィールディングを含めて結果を出しました」とした。
4捕手での争いについて「守備力というのはキャッチャーは非常に重要ですしね。ゲームが始まると、守っているときは監督。キャプテンシーというより監督の立場で引っ張れる人が扇の要だと思います」と理想像を説明した。
◆巨人の40代捕手過去に相川しかいない。相川は16年は7月11日に40歳10カ月だった17年の19試合。相川が40歳を迎えたが、16年は7月11日以降に捕手での出場がなく、40代捕手過去に相川しかいない。
阿部は今年の3月20日で40歳となり、40代の捕手が開幕戦に出場すれば球団史上初めてとなる。

 
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