ダルビッシュ柔らかな表情「一瞬一瞬を一生懸命に」

<オープン戦:カブス4-5ダイヤモンドバックス>◇26日(日本時間27日)◇アリゾナ州メサ 【メサ(アリゾナ州)26日(日本時間27日)=斎藤庸裕】昨年右肘の手術を受けたダルビッシュ有投手(32)が、実戦マウンド復帰の気持ちを赤裸々に語った。
義兄の死もあり人生観も変わった男が、実戦マウンドの土を踏んだ。
「正直めっちゃ緊張していた」。昨年8月以来、190日ぶり。いろんな思いが駆け巡った。
「(球場に)来るまでの車の中とか息詰まるじゃないけど、何て言うんだろうな。その、トラックとかちょっと軽く突っ込んでこーへんかなとか、そういうのもあった。強がってね、昔までは緊張しないとか言ってた。」
でもやっぱり登板日は(感じ方が)違います不安だった気持ちを隠そうともしなかった。昨年、右上腕三頭筋の腱炎(けんえん)や、右肘のストレス反応による痛みなどケガに悩まされた。百戦錬磨の男がネガティブにもなった。
「今日、大丈夫かな、また痛みがあるのかな」。そう思いながら球場に来た。マウンドに上がって一瞬、空を見上げた。
それから前を向くと落ち着けた。「リハビリ中はなかったし、こういうこと(感情の揺らぎ)を味わえるのはすごく幸せなことと思った」。約19メートル先に捕手がミットを構える。
その向こう、スタンドではファンが着るカブスのユニホームで青色が広がる。「またここに戻ってきたということが、信じられなかったという感じ」。五感をフルに使い、36球腕を振った。
気負いからか、制球が乱れた。「気持ちのコントロールというのもすごく難しかった」。打者8人に対して4四球を与えた。
「あーブーイングも来るわと思ったけど、ほんとそういうのも聞こえなかった。なんか、何ていうのかな。「帰ってきたね」みたいに僕は受け取りました大歓声ではなくとも、温かい拍手が待っていた。
最速154キロの外角直球には力もあった。「真っすぐが良かったのと、痛みなく投げられたというのは本当に、すごく大きかった」。不安が安心に変わった。
登板後、笑顔があふれた。鋭い眼光はそのままに、どこか柔らかく、楽しそうな雰囲気を醸し出す。理由がある。
昨年9月、義兄の山本“KID”徳郁が胃がんで急逝した。「キッドさんも亡くなられて、そこからこう、いつ死ぬか分からないし、今日帰り事故で死ぬかもしれないし、本当にそれは可能性のあること。」
ダルビッシュは今を生きている。

 
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