オリックス・杉本 人生初サヨナラ弾の陰にあったイチローへの思い「悔いなしの野球人生に」

イチローの引退表明は大きな衝撃だった。
2―2の9回、2死無走者。西村監督から「ホームランを打ってこい」と送り出された代打の杉本が、その通り、左翼席へサヨナラ本塁打を放って決着した。本人いわく、「おそらく初めてだと思うと、アマチュア時代も含めて人生初のサヨナラ弾だった。
杉本とイチロー。この2人の接点は、オリックスファン以外ではほとんど知られていない。杉本が入団した16年1月。
イチローが自主トレで、「一緒に動ける外野手をオリックスにリクエストし、該当したのが杉本だけだった。「まじ、ラッキーです。一生分の運を使ったと思います」。
そんな杉本の弾んだ声が、まだ私の耳にも残っている。そして、その日の自主トレは、オリックス担当ということで私も間近で見ることができた。ラッキーだった。
しかし、練習が始まると、ピリッとする空気感に笑顔が消えた。漫画「北斗の拳」のラオウを敬愛する杉本も、1メートル90の長身をすぼめて、萎縮しているのが分かるほど。イチローの打撃練習を、「動画撮ってもいいですかと声を掛けるまで、何度も躊躇していた。
「どうぞ」というイチローの笑顔で、見ているだけのこちらも肩の力がふと抜けたのを覚えている。それ以来、杉本は毎年、イチローの笑顔で、見ているだけのこちらも肩の力がふと抜けたのを覚えている。
深夜の会見を最後まで見た杉本は「思うことがあった」と、京セラドームにやってきて、人生で初めてというサヨナラ本塁打を放ったわけだ。「最近、ずっと打てていなくて、終わったなと思っていた。きょうがラストチャンス。
「引退試合ぐらいの気持ちでいきました」。コメントにも敬意があふれていた。杉本が長打力を磨くきっかけの1つが、実はイチローだったという。
「練習でイチローさんは、ホームランばかり打っていた。僕も飛距離には自信があったが、僕よりも全然数は多かった。肩も強い方だと思っていたが、レベルが違った。」
「イチローさんと練習したことで、僕も練習で遠くに飛ばそうと思うようになったんです」。自主トレに参加したことで、僕も練習で遠くに飛ばそうと思うようになったんです」。
「イチローにあこがれ、イチローを真似した」。多くの野球少年と同じような経歴が杉本にもあった。サヨナラ本塁打を打った夜。
1軍に生き残ったという杉本は、最後に「自分も悔いなし、という野球人生にしたいと思っています」と、前を向いた。いつもなら、ラオウの名言を使った、と思う私も、この日ばかりは「後悔などあろうはずがありません」と言っているように聞こえた。

 
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