壮絶舞台裏…イチローが引退を決断した日

試合が終わって、チームメイトを迎えるためフィールドに姿を見せたイチローだったが、チームメイトらとタッチを交わした後、何もなかったかのようにダグアウト裏へ引き上げた。
 少しして、試合後の会見を終えたアスレチックスのボブ・メルビン監督が現れる。関係者がブルペンの扉を開けたそのとき、一瞬だけ中の様子が見えた。記者らの輪の外には、チームメイトが集まっていた。
10分、いや15分後。会見が終わって、固く閉じられていた扉が開く。日本人メディア向けの会見は、東京ドームホテルで予定されていたので、そちらに向かおうとフィールドに背を向けた瞬間、背後から、地鳴りのような歓声が聞こえてきた。
「出てきた! 出てきた!」 飛び交う声をかき分け、グラウンドへ走る。イチローがちょうど、三塁側のダグアウトの前でファンのカーテンコールに応え、三塁側からレフトへと、ゆっくりと場内を一周し始めたところだった。試合が終わっても、ファンはその場を去ろうとしなかった。
球場の係員もそれを促すことはなかった。「イチロー! イチロー!」  多くは声が枯れるまで、名前を呼び続けた。それは、イチローの耳にも届いていた。
51番の背中を追うようにして、エドウィン・エンカーナシオン、ライオン・ヒーリー、ディー・ゴードンらもフィールドに出てきた。多くがスマートフォンを掲げ、撮影をしている。ゴードンとすれ違う。
「やばい、これは、やばい!」 試合中は涙を流したゴードンだが、目の前の光景に興奮し、それ以上の言葉をつげなかった。

 
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